学校でのいじめ研修の必要性と法的根拠

いじめに関する校内研修は,単に知識を深めるための取組ではありません。いじめ防止対策推進法においても,計画的な研修の実施が義務づけられています。

本記事では,学校でいじめ研修を実施する法的根拠と,研修を通して確認しておきたい内容について解説します。

目次

いじめ研修はなぜ必要なのか

現在の学校現場の大きな課題として,いじめ防止対策推進法が学校現場へ浸透していないということが挙げられます。

いじめ防止対策推進法は,大津市のいじめ自殺事件をはじめ,いじめをめぐる深刻な事案を背景として成立しました。

「いじめ防止対策推進法」は、決して大げさではなしに「いじめ被害者の血で書かれた法律」なのだ。
(斎藤環, 2026「いじめ後遺症」p.40より)

しかし,いじめ防止対策推進法や,国の基本方針に対する教員の理解は,未だ不十分であることが指摘されています。教員が自身の経験や判断に基づきいじめ対応をすることによって,重大事態に繋がってしまう事例もあります。

いじめ防止対策推進法、文部科学大臣策定の「いじめ防止基本方針」等の教員への浸透度は未だ不十分であるという実態が明らかとなった。
(坂田仰・山田知代, 2021「いじめ防止対策推進法の学校現場への浸透と課題」より)

そこで本資料「つなぐ」は,法に基づく対策について要点を取り合げ,いじめ防止対策推進法の理念を全ての学校現場に浸透させることを主な目的としています。

いじめ防止対策推進法に基づく学校のいじめ対策の中核とされる「学校いじめ対策組織」についても,資料内で解説をしています。

「つなぐ」サンプル

全ての教員が法に基づくいじめ対応を理解することにより,いじめの防止および発生後の正確な対応へと繋がります。

いじめ研修を実施する法的根拠

いじめ研修の実施は,いじめ防止対策推進法の第18条において定められている学校の義務です。

いじめ防止対策推進法 第18条の2
 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する研修の実施その他のいじめの防止等のための対策に関する資質の向上に必要な措置を計画的に行わなければならない。

また,国の基本方針では,学校は年に複数回,いじめの問題に関する校内研修を行うこととされています。

全ての教職員の共通理解を図るため,年に複数回,いじめの問題に関する校内研修を実施するよう,取組を促す。
(いじめの防止等のための基本的な方針 p.21 より)

こうした研修が求められる背景には,いじめをめぐる厳しい状況があります。令和6年度のいじめの認知件数は769,022件,重大事態の発生件数は1,405件となり,いずれも過去最多となりました。

また,いじめへの対応を組織的に進めるため,全ての学校には「学校いじめ対策組織」を設置することが求められています。文部科学省は,この組織を,いじめの防止や対応の中核となる常設の組織と位置づけています。

しかし,過去の重大事態では,学校いじめ対策組織が十分に機能していなかったことや,その機能が教職員に十分理解されていなかったことが指摘されています。

教職員がいじめに関する基本的な知識や組織的対応について共通理解をもつためにも,継続的な校内研修が重要です。

いじめ研修に「つなぐ」を活用する

いじめ防止研修資料「つなぐ」は,いじめ対応について教員が理解を深め,自校の取組を振り返るために作成した資料です。

校内研修だけでなく,新任者や講師を含めた全教員への知識の共有など,学校の実情に応じて活用できます。

小学校,中学校,高等学校,特別支援学校など,全ての校種で使用可能です。

必要ないじめの知識を教職員全体で共有する

「つなぐ」は,いじめの定義や学校いじめ対策組織,学校いじめ防止基本方針など,学校の教職員に必要ないじめの知識を厳選してまとめています。

教職員それぞれの経験や知識だけに頼るのではなく,学校全体でいじめ対応について共通理解を深めるために活用できます。

また,非常勤講師にも必要な知識を共有できることもメリットです。

「つなぐ」は研修での使用だけでなく資料として配布することもできるため,研修への参加が難しい教職員にも,いじめ対応に必要な基本的な知識を共有できます。

学校の実情に合わせた研修を実施する

「つなぐ」は,決められた方法で研修を行うための資料ではありません。

校内研修で教職員同士の話し合いに活用するほか,年度初めなどに資料を配布して内容を確認してもらうだけでも,基礎的な知識の補完としての効果が期待できます。

また,「つなぐ」は必要な情報を厳選し,表紙を含めた全12ページにまとめています。

・第1回:組織と方針で進めるいじめ対応〈8ページ〉
・第2回:自校のいじめ対策を考える〈8ページ〉

限られた研修時間の中でも,教職員に必要ないじめの知識を共有し,学校全体のいじめ対策について考える機会をつくることができます。担当者の研修準備の負担を軽減することにも繋がります。

自校のいじめ対策を見直すきっかけに

「つなぐ」は,知識を学ぶだけの研修資料ではありません。

学校いじめ対策組織や年間の取組,重大事態につながり得る対応上の課題などを振り返りながら,自校のいじめ対策について考える内容を取り入れています。

国の基本方針では,それぞれの学校が実情に応じた「いじめ防止プログラム」を作成することが重要とされていますが,「つなぐ」がそのための指針となれば幸いです。

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この記事を書いた人

シンエイ教育代表
元公立高等学校教員。現在は教師のいじめ対応、学校いじめ対策組織、組織的対応のあり方などをテーマに研究を行っています。

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