なぜいじめはなくならないのか|法律が学校で守られていない現実

日本では2013年に「いじめ防止対策推進法」が施行されました。

学校にいじめの防止、早期発見や対処を義務づけ、基本方針の策定も求めています。

国は同年に「いじめの防止等のための基本的な方針」を定め、その後も改定を重ねてきました。

にもかかわらず、文部科学省の調査では認知件数は年々増加し、過去最多を更新し続けています。法律はあるのに、なぜいじめはなくならないのでしょうか。

目次

いじめに関する法律や方針が守られていない

学校において、せっかくのいじめに関する法律や方針が守られていない現実があります。主なものをいくつか紹介します。

学校いじめ対策組織が周知されていない

学校いじめ対策組織は、学校がいじめの問題に取り組むに当たって中核となる役割を担っています。

ただし、多くの学校において、学校いじめ対策組織が形骸化してしまっているのが現状です。

学校いじめ対策組織は,いじめを受けた児童生徒を徹底して守り通し,事案を迅速かつ適切に解決する相談・通報の窓口であると児童生徒から認識されるようにしていく必要がある。
「いじめの防止等のための基本的な方針」p.27 より

このように、学校いじめ対策組織は、学校における「警察」のように、子どもたちから信頼されなければいけません。

しかし、学校いじめ対策組織を信頼するどころか、知っている子どもですらどれくらいいるのか怪しいのが現状です。

過去に重大事態が起こった学校では、子どもどころか教員や校長ですら、組織の存在を正しく認識していなかったという事例も散見されます。

いじめの研修が行われていない

いじめ研修を実施しなくてはいけないことは、いじめ防止対策推進法の第18条において定められています。

学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する研修の実施その他のいじめの防止等のための対策に関する資質の向上に必要な措置を計画的に行わなければならない。
いじめ防止対策推進法 第18条の2より

また、国の基本方針では、いじめの研修は年に複数回行う必要があると述べられています。

しかし、何名かの現職教員にインタビューしてみたところ、いじめのことだけを取り扱うような研修を行った記憶はないとのことでした。

学校いじめ防止基本方針が形だけになっている

法は学校ごとの「学校いじめ防止基本方針」の策定を義務づけていますが、内容が国の方針をそのままコピーしたものや、更新されないままのケースが少なくありません。

学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
いじめ防止対策推進法 第13条より

学校いじめ防止基本方針の構成における重要事項の一つが、「いじめの防止プログラム」となります。学校が実情に合わせて、どのようにいじめ防止に取り組んでいるか、その内容が明確に記されていなければなりません。

また、学校いじめ防止基本方針があることで、児童生徒及びその保護者に対し、児童生徒が学校生活を送る上での安心感を与えるとともに、いじめの加害行為の抑止につながるようにしなければなりません。

しかしながら、学校いじめ防止基本方針について子どもや保護者はほとんど読んでいないし、存在を知らないというのが現状でしょう。そもそも子どもや保護者が読むことを想定して作っている学校は少ないように感ぜられます。

まとめ

いじめ防止対策推進法と国の基本方針は、正しく機能すればいじめを防止する力を持っています。

問題は法の中身ではなく、教員や学校関係者がその内容を詳しく知らないことです。また、運用を検証する仕組みや、守らなかった場合の責任の所在が曖昧な点などにあります。

法律をつくることと、社会に根づかせることは別の問題です。

いじめがなくならない理由のひとつは、そのギャップがいまだ埋まっていないことにあります。

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この記事を書いた人

いじめ対策Web代表。
徳島県出身 / 元公立学校勤務

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