いじめとけんかの違いとは|文部科学省の見解を解説

学校現場では、「いじめではなく、けんかではないか?」という判断が行われることがあります。
しかし、文部科学省は「けんか」という言葉によって、いじめの認知漏れが生じることに強い警鐘を鳴らしています。
今回は、文部科学省の資料をもとに、いじめとけんかの違いについて整理します。
「けんか」の多くはいじめと認知される
文部科学省による「資料1 いじめの認知について」によれば、いじめと認知することを要しないけんかは、極めて限定的であると述べられています。
法に規定されたいじめの定義に照らすと、一般に「けんか」と捉えられる行為(一定の人的関係のある児童生徒間でなされるもの)は、なんらかの心身の苦痛を生じさせるものが多く、それらは法に基づきいじめと認知される。いじめと認知することを要しない「けんか」は、極めて限定的である。
文部科学省, 2016「資料1 いじめの認知について」より
つまり、法の規定上、けんかの多くは心身の苦痛を生じさせるために、いじめに該当するというのが文部科学省の見解のようです。
国の基本方針でも、けんかに関する記述が改定されている
文部科学省による「別添2 いじめの防止等のための基本的な方針(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について」によれば、2017年に国の基本方針の、いじめの定義について喧嘩に関する記述が改定されています。

(改定後)
けんかやふざけ合いであっても,見えない所で被害が発生している場合もあるため,背景にある事情の調査を行い,児童生徒の感じる被害性に着目し,いじめに該当するか否かを判断するものとする。
「いじめの防止等のための基本的な方針」(2017年改定)より
改定前は、「けんかは除く」という言葉のせいで、学校がけんかだからといじめを見逃してしまう危険性がありました。
文部科学省もそのことを考慮し、けんかやふざけ合いであっても被害性に着目して、いじめに該当するものはしっかり認知していこうという姿勢を国の基本方針に盛り込んだのだと考えられます。
まとめ
いじめとけんかの違いは、単純に双方がやり返したかどうかではありません。
文部科学省が重視しているのは、行為を受けた子どもが心身の苦痛を感じているかどうかです。
学校現場では、「けんかだから」と判断して終わらせるのではなく、被害を受けた子どもの視点に立って状況を見極めることが重要です。
いじめの重大化を防ぐためにも、けんかといじめを安易に切り分けない姿勢が求められています。
