いじめられる側にも原因がある論について

いじめられる側にも原因がある

「いじめられる側にも原因がある」といった言葉は、しばしば学校現場やSNSで見かける主張です。

そのような主張や、「いじめられる側にも原因があるのか?」という問いかけに対し、議論が行われることもあります。

しかし、私の意見としては、その問いかけ自体がナンセンスであると考えます。

人それぞれ考え方は違うものの、いじめられる側に原因を追究する考え方には、大きな誤解や危険性が潜んでいると思わざるを得ません。

目次

いじめられる側にも原因があるという問いかけが良くない理由

いじめられる側にも原因があるのではないか、そういった問いかけや議論自体が存在するべきではありません。

いじめは誰に対して行うことも許されない

まず前提として、いじめは決して許される行為ではありません。

日本の法律にもいじめの禁止は明確に示されています。

いじめ防止対策推進法 第四条
児童等は、いじめを行ってはならない。

例え相手がどんなに極悪人でも、どんな犯罪者でも、人が人をいじめて良い理由にはならないのです。

いじめられる側のことは何も関係が無い

いじめは誰に対しても行ってはいけない以上、いじめられる側のことは何も関係が無いことです。

つまり、いじめられる側のことをとやかく言う問いかけや議論が存在すること自体がナンセンスなのです。

いじめられる側の原因や特徴を示すことで、いじめが正当化されるような含みを持たせるような発言自体が良くないと考えています。

いじめは問答無用で無くすべきものである

いじめは、どんな相手だろうと許されるものではありません。

つまり、以下のような意見や問いかけは、筋が通らないもの、理屈に合わないものであり、存在自体が無意味なものとも言えるでしょう。

・「いじめられる側にも原因がある」
・「いじめられる方にも問題がある」
・「いじめられるのはお前が悪い」
・「いじめる方といじめられる方どちらが悪い?」

いじめの是非や原因論に関しては、「いじめられる側のことは一切関係なく、いじめという行為自体が悪である」というのが明確な答えだと考えています。

体格や性格といった、いじめの標的になりやすい人の特徴は確かにあるでしょう。しかし、それはいじめが誰に対しても許されるものではないという前提を踏まえたうえで話すべきことです。

いじめ加害者は「いじめられる側にも問題がある」と主張しがちである

東京都立教育研究所から1998年に発行された研究報告書によれば、児童・生徒に対する質問紙 ・面接調査等において、いじめている側の子どもに「いじめられる側にも問題がある」との回答が多く見られたとのことです。

いじめ加害者によるいじめの言い分

いじめている児童 ・生徒の回答からは、次のようないじめの言い分が挙げられています。

・自己表現が不得手で、コミュニケーションが取りにくい子どもに対して「しゃぺらない」「何を考えているのか分からなくて、付き合いにくい」「へんなことをする」など。
・ 共同で活動する際に遅れがちだったり、うまくできない子どもに対して「行動が遅いので、気にくわない」「やることをやらないから」「班の仕事を何もしないのでむかつく」など。
・かつていじめられた相手に対して「あいつに、前はやられていたのだから、やり返す」「前にいじめられていたから 、仕返しをしている」など。
『いじめ問題』研究報告書 いじめの心理と構造をふまえた解決の方策」(東京都立教育研究所, 1998)より

こういった言い分に対し、研究報告書では、いじめている子どもの言い分を正当化しない指導が必要であると述べています。

個別の子どもの「集団生活上の課題の指導」と「いじめの指導」とは別のものであるとの認識に立ち、毅然とした態度でいじめ加害者に対応していくことが必要です。

いじめている方だけに原因と問題を追及すべき

私たちはいじめられる側(いじめ被害者)に対し、その原因や責任を一切追及するべきではありません。

先日投稿された、「何があろうと、いじめている方に問題がある」という小島よしお氏のX投稿にも、6万件を超える「いいね」の反応がついています。

投稿にあるように、いじめている側は、自分の行動を正当化しがちです。

しかし、どんな理由があろうと人が人をいじめていい理由にはならないことを、子どもも大人もしっかりと認識すべきでしょう。

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この記事を書いた人

いじめ対策Web代表。元高等学校教員。徳島県出身。
現在は博士号の取得に向け、大学院で心理学を学んでいます。

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