不登校の原因1位はいじめ?文部科学省の調査やランキングを基に考察

近年、不登校の児童生徒数は増加傾向にあり、その原因も多様化しています。
文部科学省が公表した「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」によると、令和6年度(2024~2025年)の小中学校における不登校の児童生徒数は353,970人となり、過去最多となっています。

これほど多くの子どもたちが学校に行けない背景には、どのような原因があるのでしょうか。
本記事では、文部科学省の調査結果などをもとに、不登校の主な原因を整理しながら、いじめとの関係についても解説していきます。
文部科学省の調査による不登校生徒に関する情報
まずは文部科学省の「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」より、不登校生徒に関する情報を見ていきます。

不登校児童生徒について把握した事実として、最も多いものが「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」で30.1%です。次に「生活リズムの不調に関する相談があった」が25%、「不安・抑うつの相談があった」が24.3%となっています。
対して、「いじめの被害の情報や相談があった」はわずか1.4%と、非常に少なくなっています。
ただし、こちらのデータは学校側の回答に基づくものです。児童生徒に対して直接アンケートを取ったものではないため、実際の不登校の原因とは乖離している可能性が考えられます。
児童生徒に対して直接アンケートを取っているデータの結果は、次の章から紹介します。
子どもの発達科学研究所による児童生徒へ調査した不登校の原因
不登校の原因に関する調査として、文部科学省の委託により子どもの発達科学研究所が中心となって実施した「不登校要因調査報告書」が令和6年3月に公表されています。

本調査は、不登校の児童生徒に関する教師回答、本人回答、保護者回答の三者間比較を行っており、比較的に信頼性の高いデータといえるでしょう。
不登校の児童生徒への調査に関しては、「あなたが最初に学校に行きづらい、休みたいと感じ始めたとき、学校や家で、次のようなときに、つらいと感じたことはありましたか。」と質問がされており、該当する項目すべてを選択する複数回答方式をとっているとのことです。
不登校の原因1位:不安・抑うつの訴え
本人回答で最も高かったのは、76.5%で「不安・抑うつの訴え」となっています。
不安というと広い概念であり、いじめに限らず学校での様々なことに対して不安はつきものです。
ほとんどの児童生徒が不安や抑うつについて当てはまると回答しているのも、当然と言えば当然ともいえるでしょう。
不登校の原因2位:居眠り、朝起きられない、夜眠れない
本人回答で2番目に高かったのは、70.3%で「居眠り、朝起きられない、夜眠れない」となっています。
睡眠に関する部分ですが、やはりスマホ依存などの影響により、朝起きられないという子どもも増えていそうです。
また、夜に眠れないというのも不安や悩みがある際には生じやすいものですので、70%が回答しているのもうなずけます。
子どもにとって睡眠は重要なので、家庭や学校でも、子どもが睡眠をしっかりと取れているか気を付けてあげることも重要です。
不登校の原因3位:体調不良の訴え
本人回答で3番目に高かったのは、68.9%で「体調不良の訴え」となっています。
体と心は密接に繋がっていると言われますが、やはり精神的な不安などが腹痛などの体調不良に繋がっていることも多いので、体調不良が多くなっているのも納得です。
子どもが体調不良で学校を休みがちになったときは、大人に相談できないような精神的な悩みがないかどうかも聞いてあげた方がいいかもしれません。
これらは不登校の原因として本質なのか
不登校の原因としてパーセントの高い上位3つを紹介しましたが、これら3つは多くの人が当てはまることであり、複数回答方式であれば割合が高いのも無理が無いことです。
どちらかといえば原因というより、結果に近い部分であるようにも感じます。
何らかの悩みがあるから、不安や抑うつ、睡眠や体調への影響が生じていると考えるべきです。つまり、不登校対策のために着目すべき本質ではないということです。
やはり、不登校に繋がる原因として、着目すべきは他の部分にありそうです。
不登校の児童生徒の4分の1以上がいじめ被害を訴えている

前章の調査において、私が特に注目すべきと考えているポイントが、いじめ被害に関する部分です。
不登校児童生徒の26.2%がいじめ被害を訴えています。つまり、不登校生徒の4分の1以上が、不登校のきっかけにいじめ被害を挙げているというわけです。
保護者への調査に関しても、更に割合の高い29.2%が子どもにいじめ被害があったことを回答しています。
対して教師の認識としてはわずか4.2%に留まっています。
最初に挙げた文部科学省の調査でも、「いじめの被害の情報や相談があった」はわずか1.4%であったことを鑑みると、いかに学校側が不登校の要因としてのいじめを認知していないことが読み取れます。
不登校の原因ランキング1位はいじめという調査も
不登校の子どもの保護者・支援者向けの不登校ポータルサイト「ツナグバ」による調査では、不登校の原因ランキング1位がいじめであると報告されています。

本調査は2023年に不登校経験を持つ方296名に対して行われたものであり、上位3要因は以下のようになっています。
- いじめ:90名(30.4%)
- 友人関係:68名(22.6%)
- 先生との関係:32名(11.1%)
本調査では実に3割の方がいじめが不登校の原因と回答しており、いじめの不登校に対する影響力の高さが読み取れます。
また、2位が友人関係(22.6%)であることからも、クラスメイトとの関係が不登校の半数以上の要因になっていることが分かります。
単一回答での調査では、いじめが不登校の原因の1位となる
子どもの発達科学研究所による不登校の原因調査では、複数回答有りだったために、いじめ被害のパーセントが26.2%あったにも関わらず、他の要因の割合も高かったため目立ちませんでした。
今回のツナグバによる調査は、全ての回答の割合の合計が99.9%となっていることから、様々ある要因の中からどれか一つを選んで回答するという単一回答での調査であったことが推察されます。
単一回答での調査においては、いじめが不登校の原因の1位となるという今回の結果は、不登校の原因として真に着目すべきなのは、「いじめ」を含めた児童生徒同士のトラブルではないかということが考えられます。
まとめ
近年、不登校の児童生徒数は増加の一途をたどっており、その原因も一人ひとりで異なります。
多くの人が訴えるのは精神や体の不調ですが、その原因となっている部分に目を当てなくては、有効な不登校の対策にはなりません。
今回挙げた不登校の要因に関するいくつかの調査から、学校側と子どもたち本人の間で、認識に大きなズレがあることが分かります。
不登校の原因の多くにいじめや友人関係のトラブルが関わっている
学校側の認識では無気力や生活リズムの乱れが主な要因として挙げられがちですが、子どもたち本人や保護者への調査では、いじめが不登校のきっかけになっているケースが実は少なくありません。
にもかかわらず、学校側がいじめを要因として認識している割合は非常に低く、現場での実態把握が十分でない現状が見えてきます。
子どもが学校を休みがちになったとき、表に見えている体調不良や睡眠の乱れだけでなく、その奥にある人間関係の悩みにも目を向けてあげることが大切です。
家庭と学校が連携しながら、子どものサインを見逃さない姿勢が求められています。
